腕時計にはさまざま駆動方式が存在しますが、日本を代表する高級時計ブランドであるグランドセイコー(Grand Seiko)は、伝統的な機械式、独自のスプリングドライブ、そしてクオーツという3つのムーブメントを展開しています。
機械式ムーブメント

機械式時計はゼンマイの力で歯車を駆動し、時を刻む伝統的な方式です。グランドセイコーの機械式ムーブメントは、職人の手作業による繊細な調整により、高い精度を実現しています。中でも「キャリバー 9SA5」に代表されるハイビートムーブメントは、毎秒10振動(毎時36,000振動)でありながら、約80時間連続駆動し、高精度・高持続を誇ります。
また、グランドセイコー機械式ムーブメントは、高い品質を保つためにスイスの公式クロノメーターよりさらに厳しい、17日間にわたる厳格な規格に基づく独自の検定試験を受けています。
この試験では、6方向の姿勢差、3段階の温度などさまざまな条件下で計測が行われ、時間の進みや遅れ(日差)が基準値内に収まらなければ、グランドセイコーの名を冠することは許されません。
特徴:
まず特筆すべきは、時計としての完成度の高さ。
グランドセイコーは高級時計の定義として
- 時間の見やすさ
- 職人の技術が生み出す精密な仕上げ
- 定期的なオーバーホールが必要
- 平均日差+5秒~-3秒の静的精度(9S27は除く)
の3つを掲げています。
まさに「時計の本質」を追及する、こだわりの強いものづくりが魅力の1つです。
それを実現できるのは、心臓部であるムーブメントの開発から設計~組立てに至るまですべて自社製作しているこだわりの強さに表れています。
「正しく時間を刻む」という時計本来の機能を極限まで追及し、その精巧なつくりと技術力は、国内外でも非常に高く評価されています。
その正確さは、なんと「平均日差+5~-3秒」というから驚きです。
スプリングドライブムーブメント

スプリングドライブは、セイコーが独自に開発した革新的なムーブメントで、機械式とクオーツ式のハイブリッドとも言える技術です。ゼンマイを動力源としながらも、電子制御による「トライシンクロレギュレーター」が精度を調整し、ほぼ誤差のない時間計測を実現しています。
- スイープ運針による滑らかな秒針の動き
- 高い精度(平均月差±15秒程度)
- クオーツ制御による安定した計時
クオーツムーブメント
クオーツ時計は、水晶振動子(クオーツ)の性質を利用し、電気的に時間を刻むムーブメントです。グランドセイコーのクオーツモデルは、一般的なクオーツ時計と比較しても極めて高精度であり、「9F」シリーズのムーブメントは年差±10秒という驚異的な精度を誇ります。
また、9Fクオーツは通常のクオーツ時計よりもトルクが強く、機械式時計のような太い針を動かすことが可能です。さらに、瞬時に日付を変更する「瞬間日送り機構」や、長期間オイルが劣化しにくい設計など、細部にわたるこだわりが感じられます。
特徴:
- 極めて高い精度(年差±10秒)
- 2年~5年で電池交換が必要
- 電池で駆動するためゼンマイ巻き上げ不要
- 一般的なクオーツよりも高級感のある設計
どのムーブメントを選ぶべきか?
- 機械式 → 伝統的な時計の魅力や職人技を楽しみたい方
- スプリングドライブ → 機械式の美しさとクオーツ並みの高精度を求める方、滑らかな秒針がお好みの方
- クオーツ →高精度かつ時刻合わせの手間が少ない
グランドセイコーはどのムーブメントも卓越した技術と品質を誇り、用途やライフスタイルに応じた最適な選択が可能です。腕時計は単なる時間計測の道具ではなく、持つ人のこだわりや美意識を映し出す存在です。
ぜひ、自分にふさわしい一本を選び、長く愛用してみてはいかがでしょうか。
おすすめモデル
機械式

9Sメカニカルモデルの伝統的なスタイルを継承しながら、新たなダイヤル表現を採用したモデルです。グランドセイコーの機械式モデルの製造元「グランドセイコースタジオ 雫石」から望む岩手山で厳冬期に見られる「氷瀑」をイメージ。「氷瀑」は、滝から流れる水が氷点下でゆっくりと時間をかけて凍りついていく自然現象。その幻想的な光景を、ダイナミックさと繊細さが共存したパターンと独特の青白いカラーで表現しました。ムーブメントには毎秒 10 振動のハイビートムーブメント「キャリバー9S85」を搭載し、精度のばらつきを抑え、安定した精度を実現。径37㎜のケースには、耐食性に極めて優れたエバーブリリアントスチールを採用しています。
スプリングドライブ

1967年に発売されたグランドセイコー史上初の自動巻機械式モデル「62GS」を現代的にアレンジした「62GS現代デザインモデル」をベースとし、日本特有の季節の移ろいをダイヤルで表現したモデルです。
二十四節気の一つ「春分」が過ぎて、風に舞い散った桜の花びらが川の水面を覆う「花筏(はないかだ)」の情景を切り取ったかのようなダイヤルが特徴です。桜が散ってもなお愛でるという日本ならではの風情ある風景を、岩肌のようなパターンとグレイッシュなピンク色で表現し、時計に目をやるひと時に華やぎを添えます。
クオーツ

このモデルが製造される「信州 時の匠工房」から望む穂高連峰の荘厳な雪景色が美しく再現された白銀のダイヤル。「雪白」と呼ばれるそのダイヤルは未踏の雪原に風が刻む風雪紋を表現した、グランドセイコーの美学が息づく繊細なダイヤル模様です。ブルースチール秒針の鮮やかな青さと、ベゼルにセッティングされた44個のダイヤモンドの煌めきが、光の当たり加減によって様々な表情を見せてくれます。その上品な輝きは、どんな装いにも合わせやすく、エレガントな時を演出します。